クロアチアワイン

クロアチアワイン

 

🍷 Croatian Wine Guide

クロアチアワイン完全ガイド
2,500年の歴史を持つ隠れた銘醸地

ジンファンデルの故郷——世界が注目するアドリア海のワイン王国


クロアチアのワイン造りの歴史は、紀元前5世紀に古代ギリシャ人がダルマチアの島々にブドウの木を植えたことに始まります。2,500年以上の伝統を持ち、130種以上の固有品種を誇るこの国は、ワイン愛好家にとってまだ発見されていない宝の山です。4つの主要ワイン産地、それぞれの風土・気候・品種の個性をご案内します。

古代ワイン造りの歴史

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2,500年のワインの歴史

紀元前5世紀、古代ギリシャの入植者がダルマチアの島々——フヴァル、ヴィス、コルチュラにブドウを植えました。フヴァル島のスタリ・グラード平原は紀元前400年から続く世界最古の連続栽培ブドウ畑として、ユネスコ世界遺産に登録されています。

中世にはヴェネツィア共和国との交易で栄え、クロアチア産ワインはアドリア海を渡って地中海全域に広まりました。19世紀末にフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)が大打撃を与えましたが、固有品種のDNAは今も守り継がれています。

📊 数字で見るクロアチアワイン:4つの主要産地、300以上の地理的呼称区域、130種以上の固有品種、800以上のワイナリー。生産量の大半は白ワインです。

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世界を驚かせた発見 — ジンファンデルの故郷

カリフォルニアのシンボルとして知られるジンファンデル。実はそのルーツはクロアチアにありました。2001年、カリフォルニア大学デイヴィス校のキャロル・メレディス博士とザグレブ大学の研究チームが、ダルマチアのカシュテラ地方で発見された古いブドウ「ツルリェナク・カシュテランスキ」がジンファンデルと遺伝的に同一であることを証明しました。

この品種の最も古い名前は「トリビドラグ(Tribidrag)」。1444年の文献に記録があり、イタリアのプリミティーヴォ(1799年初出)やカリフォルニアのジンファンデル(1837年初出)よりも遥かに古い歴史を持ちます。

🧬 DNA物語:クロアチアで最も重要な赤ワイン品種プラヴァツ・マリは、トリビドラグ(=ジンファンデル)とドブリチッチの自然交配で生まれた子品種です。ジンファンデル好きなら、クロアチアワインにきっとハマります!

クロアチアの赤ワイン
スラヴォニアのブドウ畑

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スラヴォニア&ドナウ地方 — 白ワインの王国

気候:典型的な大陸性気候。寒い冬と暑い夏。ドナウ川、ドラヴァ川、サヴァ川の3つの大河に囲まれた肥沃な平原に、なだらかな丘陵のブドウ畑が広がります。

代表品種:グラシェヴィナ(Graševina)— クロアチアで最も広く栽培されている白ブドウ。全生産量の約22%を占めます。別名ヴェルシュリースリング。フレッシュで爽やかなスタイルから、華やかでフルボディなスタイルまで幅広い表現が可能です。

その他の品種:リースリング、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ゲヴュルツトラミネール。赤ではフランコフカ(ブラウフレンキッシュ)。

🍯 特別な一本:グラシェヴィナの酸のバランスの良さは熟成にも向いており、遅摘みやアイスワインも生産されています。甘口好きの日本人にもおすすめです。

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クロアチア高地 — スパークリングと固有品種の宝庫

気候:冷涼な大陸性気候。非常に寒い冬と穏やかな夏。丘陵の斜面が十分な日照と風通しを確保し、高いアロマと酸を持つワインが生まれます。

代表品種:シュクルレト(Škrlet)— クロアチア高地の固有品種。フレッシュでミネラル感のある白ワインを生みます。プシペル(Pušipel)やクラリェヴィナ(Kraljevina)も伝統的な品種です。

注目:首都ザグレブ周辺のプレシヴィツァ(Plešivica)地区は、瓶内二次発酵のスパークリングワインの産地として急速に注目を集めています。

赤ではピノ・ノワールが栽培されており、冷涼な気候ならではのエレガントなスタイルが特徴です。

丘陵のブドウ畑
イストリアのブドウ畑

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イストリア&クヴァルネル — オレンジワインの聖地

気候:地中海性とアルプスの冷気が交わる独特な環境。鉄分を含む赤土(テラ・ロッサ)がワインに独特のミネラル感を与えます。約4,000ヘクタールのブドウ畑が広がります。

白の女王 — マルヴァジヤ・イスタルスカ(Malvazija Istarska):クロアチア全体で2番目に多く栽培される品種。フェンネル、花梨、蜂蜜、杏、スパイスの香り。ステンレス発酵のフレッシュなスタイルから、長期マセラシオンによるオレンジワインまで多彩な表現が可能です。

赤の王 — テラン(Teran):19世紀にはイストリアのブドウ畑の約90%を占めていた伝統品種。森の果実、スミレ、スモーキーな肉のニュアンス。高いタンニンが特徴で、数年の熟成で真価を発揮します。

🟠 日本人へのおすすめ:イストリアはビオディナミック農法とオレンジワインの牙城。日本でも人気上昇中のナチュラルワイン好きなら、イストリアは必訪の産地です。

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北ダルマチア — 知る人ぞ知る赤の産地

気候:温暖な地中海性気候。シベニク周辺の海と山に挟まれた独特のテロワールが、力強くも洗練されたワインを生み出します。

注目品種 — バビッチ(Babić):北ダルマチア固有の赤ブドウ。複雑で堅牢なフルボディワインを生み出し、近年国際的な評価が急上昇しています。

白の注目 — デビット(Debit):黄金色のブドウから造られるハーブのニュアンスを持つ白ワイン。柑橘系の酸が心地よく、熟成するとヴェルモットを思わせる風味に変化します。

マラシュティナ(Maraština)もこの地域で人気の白品種で、豊かな質感とバランスの良いフレッシュさが特徴です。

ダルマチアの海と山
ペリェシャツ半島の急斜面ブドウ畑

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中南ダルマチア — クロアチアワインの頂点

気候:温暖な地中海性気候。岩だらけの地形、島々、丘陵が無数のミクロクリマ(微気候)を生み出し、テロワールがワインの個性を決定づけます。

赤の王 — プラヴァツ・マリ(Plavac Mali):「小さな青」を意味する名前の通り、小粒で濃い青紫のブドウ。ブラックベリー、ダークチェリー、黒胡椒、イチジク、スパイスの風味。高アルコール・高タンニンのフルボディワインです。

ディンガチ(Dingač)— クロアチア初のアペラシオン:ペリェシャツ半島南斜面の急勾配ブドウ畑から生まれるプラヴァツ・マリの最高峰。1961年にクロアチア初の原産地呼称保護を取得。白い岩とアドリア海の反射光で極限まで熟したブドウから、濃厚でリッチなワインが造られます。

🏔️ ワイン好きへの情報:ディンガチの畑は傾斜20〜34度。すべて手作業で収穫されます。クロアチアで最も高価なカルトワインの産地です。

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島々のワイン — 海に浮かぶ固有品種の楽園

クロアチアの島々は、本土とは異なる孤立した環境により、世界でここだけの固有品種を数多く守り続けてきました。

ポシプ(Pošip)— コルチュラ島発:リンゴ、バニラスパイス、柑橘、アーモンドのニュアンス。辛口でフルボディ。伝説的ワインメーカー、ミリェンコ・グルギッチ氏(1976年「パリスの審判」の勝者)がクロアチア帰還後に選んだ品種の一つです。

グルク(Grk)— コルチュラ島の希少種:世界で栽培面積わずか20ヘクタール未満。雌花しか咲かないため、受粉のために他品種の近くに植える必要がある「最も女性的なブドウ」。白胡椒、メロン、ハーブの繊細なアロマ。

その他の島の宝物:ヴガヴァ(Vugava=ヴィス島)、ボグダヌシャ(Bogdanuša=フヴァル島)——それぞれの島でしか味わえない唯一無二のワインが待っています。

クロアチアの島とブドウ畑
ワインセラーと試飲

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クロアチアのワイン文化と楽しみ方

ポドゥルム(Podrum=ワインセラー):クロアチアでは、ほとんどの農家が自家製ワインを造る文化が根付いています。家庭のポドゥルムに招かれたら、それは最高のおもてなしの証です。

ゲミシュト(Gemišt):大陸部で人気の白ワイン+炭酸水のカクテル。暑い日の午後にテラスで楽しむクロアチアの定番です。沿岸部では赤ワインと水を混ぜた「ベヴァンダ(Bevanda)」も一般的。

料理とのペアリング:白(ポシプ、マルヴァジヤ)は新鮮なアドリア海のシーフードと。赤(プラヴァツ・マリ)はラムのペカやシチューと。テランはイストリアのトリュフ料理やチーズと抜群の相性です。

日本の「食と酒の調和」を大切にする文化と、クロアチアのワイン文化は驚くほど似ています。

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日本人旅行者のためのワイナリー訪問ガイド

ベストシーズン:9月〜10月の収穫期(ベルバ=Berba)が最もエキサイティング。ブドウ踏みなどの体験ができるワイナリーもあります。5〜6月も天気が良く、観光客も少なくおすすめです。

試飲のマナー:クロアチアのワイナリーは大手でもアットホームな雰囲気。試飲中に「Živjeli!(ジーヴィエリ=乾杯)」と声をかければ、オーナーの笑顔は間違いなしです。

予約について:小規模なファミリーワイナリーは予約必須。メールかWhatsAppで事前連絡しましょう。英語が通じることがほとんどです。

🛫 お土産ルール:EU圏からの日本への酒類の持ち込みは、760ml×3本まで免税です。お気に入りの固有品種を日本に持ち帰りましょう!

ワイナリー訪問と試飲

🍇 覚えておきたいクロアチア固有品種チートシート

— 白ワイン —

グラシェヴィナ — 爽やかりんご系(スラヴォニア)

マルヴァジヤ — 華やか花梨系(イストリア)

ポシプ — 辛口フルボディ(コルチュラ島)

グルク — ミネラル希少種(コルチュラ島)

シュクルレト — フレッシュ固有種(高地)

— 赤ワイン —

プラヴァツ・マリ — 濃厚フルボディ(ダルマチア)

テラン — 鉄分ミネラル系(イストリア)

バビッチ — 複雑堅牢系(北ダルマチア)

トリビドラグ — ジンファンデルの祖(ダルマチア)

フランコフカ — エレガント系(大陸部)

Živjeli! 乾杯!🍷🇭🇷

クロアチアの一杯が、あなたの旅を忘れられない体験にしますように。

※ワインの品質分類や法規制は変更される場合があります。最新情報は現地ワイナリーや観光局にてご確認ください。

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